えぬけーPという男と千枝バティスタについて

昨日のKSB2019のBBTAG部門お疲れ様でした!
配信内だけでも多くの名勝負が生まれた今回の大会ですが、中でも多くの方が気になっているのが「千枝で3位入賞って何事?」「あのバティスタ千枝使い急に現れたけど誰!?」ということかなと思うので、"謎の千枝使い"えぬけーさんのすごさについて少し書いていこうかなと思います。

・出会いと本家ブレイブルー
えぬけーさんと最初に知り合ったのが、ブレイブルーの家庭用BBCPEXをやっていた頃でした。約4年前の話です。
彼は最初ノエルやカグラ、ヴァルケンハイン等を使っていたみたいですが最終的にタオカカをメインキャラとしていて、僕と知り合った時から今までずっと使っています。タオカカは、BBTAGの千枝ほどではないですが使い手の少ないキャラなので、レアキャラ使いとしての側面もあるかもしれません。えぬけーさんとは僕の配信に遊びにきてくれたのをきっかけに仲良くなりました。固定4on4のネット大会に、僕のカルル・えぬけーさんのタオカカ・ヴァルケンハイン使いとν使いの方で、「ストレス社会」という名前のチームを組んで出場したのは今でもいい思い出です。
えぬけーさんはそれまで鉄拳等の3D格闘ゲームはやられていたみたいですが2D格闘ゲームについてはBBCPの頃から本格的に始めたようです。

・BBTAG発売
一時期僕もえぬけーさんも格ゲーから離れてLeague of Legendsというゲームをやっていたのですが、僕がBBTAGにドハマりしてえぬけーさんを勧誘しまくったのをきっかけに、彼もTAGをやってくれるようになりました。
最初は千枝マコトというチームでやっていたのですが、このチームは僕の使っているブレイク=ベラドンナと相性が悪い上に始めた時期の差もあって、プレマではしばらく受難の時が続いていました。(当時のえぬけーさんの口癖「ベラドンナ、クソ!!」)
結局インファイター2人なのがあまりよくないのではということで、テイガージン(当時調整前で弱かったガジェット〆をジン6Pで補強して起き攻めしていく)、テイガーアズラエル(高火力と逆アシの二段構えチーム)等色々なチームを試していましたが萌え豚としての側面も持つ彼が最終的に選んだのは、千枝バティスタというチームでした。

・千枝バティスタ
昨日会場や配信で彼の対戦を見てもらった方ならわかると思うのですが、えぬけーさんの千枝バティスタは非常に仕上がっています。千枝バティスタの強みと彼のすごさについて、2つに分けて説明していこうと思います。

①バー対チャージコン
千枝の独自の強みの1つとして挙げられるのが、チャージというディストーションスキルです。ゲージを使うことで自身の火力を一時的に上げられる技で、溜めた時間によりレベルが1~3まで上がり、火力上昇量も加速度的に伸びていきます。レベル1チャージは硬直が短く効果時間も長いので立ち回りで使っていくことも可能ですが、レベル3チャージは長時間の溜めが必要ですぐ効果が切れてしまう上に、クロスコンボ中やレゾナンスブレイズ中の強化版でないと1度でレベル3まで持っていくことができない、とまさにロマン技といった性能になっています。そのロマンを現実としたのが彼のすごいところの1つです。
レベル3チャージの狙いどころの1つが、バー対アシストからのクロスコンボ発動です。チャージコンはどうしてもバーストに弱くなってしまうので、相手がバーストできないバースト使用直後に狙う必要があります。BBTAGではアシスト始動のコンボは火力が出にくい仕様なのですが、チャージコンが決まるとバー対アシストからどこからでもブレイクが死にます。は?

↑コンボ喰らってもいいからとりあえずバーストで交代しよう!→は?

動画のようなチャージコン自体はトレモすればまあできるかなという難易度なのですが、各種コンボをもう2ゲージあるか無いか・画面中央か端か・千枝が前かバティスタが前かで使い分けていく判断は相当難しいです。そして忘れてはならないのが、BBTAGというゲームではキャラによってバーストに差があるということです。キャラによっては上に書いた判断に加えて受け身方向やレシピを変える必要があるのですが、えぬけーさんは尋常じゃない量のトレモにより全キャラに対してバー対チャージコンルートを構築して、実際に実践しています。この判断力と練習量が間違いなく彼の強さの要因の一つです。

余談としてバティスタ前のチャージコンにおいて、千枝4P>クロスコンボ発動>Aミコルセオチェンジ>5B(4P)>チャージ>~というパーツがあるのですが、このコンボの際起き上がり直後はクロスコンボのボタンを押しても反応しないのに、微歩きクロスコンボとすると最速でクロスコンボが発動できるというバグかもしれないテクニックがあります。恐らくBBTAGプレイヤーのほとんどが知らない仕様ですが、これを利用してコンボレシピを構築しているのでさすがという他ありません。(最初この話聞いた時こいつはデバッガーか何かかと思いました)

↑1つ目のコンボの入力に注目、微歩きしないとクロコン発動が遅れます

②クロスコン
千枝バティスタの特長の1つが、クロスコンボを用いた強烈な立ち回りです。
えぬけーさんが千枝バティスタを使い始めた当初は①のバー対チャージコンがこのチームのほぼ全てだったので、「バティスタが立ち回り強いだけで千枝はただの火力装置やんけ!」なんて笑っていました。ところがある時「最近ずっとクロスコンボ使ったトレモしてる」と言い出してその3日後ぐらいに戦った時、「は?何これ・・・」と絶句しました。皆さんが配信で見た"あの"立ち回りを初めて喰らった時のことです。後から訊くと「ゴルビーを応用したらああなった」と言っていましたが全プレイヤーの内何人がゴルビーを見てあれを思いつけますか?恐らく尋常じゃない発想力とトレモ量の結果あの立ち回りが完成したのだと思いますが、僕の目にはあれはゴルビーとは似て非なる"何か"のように見えます。えぬけーさんの話によると昨日某EVO覇者でゴルビーの開祖の方と対戦した時、「初めてクロスコンボを喰らった時の気分だ」と言われたそうです。本当にそれぐらいの衝撃を僕も受けました。
千枝が弱キャラと言われる要因の一つとして、パートナースキルの使いにくさが挙げられます。具体的には、

・6P(ドラゴンキック)…当てたら火力出そうだけど当てられないしコンボにも組み込みにくい
・5P(金剛発破)…突進が短いから立ち回りで使いづらい、ハクメンやテイガーの劣化感
・4P(原作2C)…対空として使いづらい、発生前にペルソナが割れてただ体力が減るだけことも

と中々悲しいように見えます。しかしこれはあくまで通常の立ち回りにおいての話であり、クロスコンボを主体とした戦い方だと一気に評価が以下のように変わります。
・6P(ドラゴンキック)…立ち回りからスムーズに挟みこむことのできる稀有な技、発生前の低姿勢で潰されにくいのも優秀
・5P(金剛発破)…ヒット時2ヒットして拘束時間が長いのでクロスコンボ中バー対しやすいような位置どりが簡単にできる
・4P(原作2C)…ガード時は高い拘束力を持ち、リジェクトされてもペルソナが吹っ飛ばされないのでクロスゲージの限り固められる。ヒット時の火力が高く設定されているので短時間でも黒ダメージを大量にゲットすることが可能

このように、恐ろしいほどの高性能アシスト群になります。
「千枝はクロスコンボで戦うキャラだったんだ…」って本気で納得しました。BBTAGは絶妙な調整が多く、僕は常々天才が作ったんじゃないかと思っているのですが、天才のメッセージを受け取れるのは天才だけなんだなと思いました。

・終わりに
上で散々神様かのように崇めましたが、普段のえぬけーさんはとても気さくないい人なのでぜひ機会があれば話してみてください!僕はえぬけーさんの千枝バティスタを見て、一時期「このチームが絶対最強だ」と思って自分で練習するぐらいに感動していたので、今回壇上に上がるまでの結果を出してくれて本当に嬉しくて涙が出そうでした。(実際出ました)
今回壇上に上がったTAGは、テイガーワレン、ブレイクユズリハ、そして千枝バティスタ三者三様のとても面白いチームでした(手前味噌ですみません…)。もちろん他の強者達も、それぞれにオリジナリティのある戦い方を日々研究していて見ているだけでもめちゃくちゃ面白いです。BBTAGというゲームにはこのような自由さ、懐の深さがあるのでこの記事を読んでいる人でまだ遊んだことがないという方はぜひやってみてください!本当に面白いゲームです!
そしてBBTAGプレイヤーの皆さんには本当にお世話になっていて、対戦やオフの度に楽しい思いをさせてもらっていて感謝の気持ちしかありません。今後ともよろしくお願いします!


筆者:ピザマヨ